初めての方もそうでない方も、こんにちは、千歳です。
大分前になりますが、大奥〜家治・倫子編〜は覚えていますでしょうか?

私はSnow Manの舘様が出るということで見ていました。
しかし、途中見るのをやめてしまおうかと思うほど、ひどい内容で、果たしてフィクションと言えどもここまで史実を捻じ曲げて良いものなのかと思ってしまいました。
前から大奥を見ていた人も、こういうドロドロは今まで見たものと違う、ただのいじめにしか見えないと言われる始末…
そこで、今更ですが、私から見た大奥〜家治・倫子編〜についての、落胆多めな感想を書いていきたいと思います。
※否定型多めな内容となっております。苦手な方はブラウザバックをお願いします。
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では行きます。
裏切られた期待
大奥・家治倫子編、始まる前は正直めっちゃ期待していました。
私は前に見ていた大奥シリーズは、多部未華子さんと堺雅人さんが出演していた、大奥〜誕生[有功・家光編]で、男女逆転もののifストーリーで、もしも本当の家光が病で逝去し、唯一家光の血を引く少女が家光に成り代わっていたら…と言う内容のものでしたが、人物に対しても歴史に対してもミリしらで見ていましたが、切なく儚い恋物語という話で、ラブシーンも不快感なく見られた数少ない作品でした。
テレビ局はTBSからフジテレビに変わりましたが、それでもフジテレビでは20年ぶりの作品、史実をベースにしながら、きっと心情を丁寧に描いてくれるんだろうなと、楽しみにしておりました。
しかしその期待は、回を追うごとに、悪い意味で裏切られていきました…。
雑すぎるキャラ描写
まず、キャラの描写が雑すぎる、このシーンで描くべきキャラクターの描写より、ストーリーの進行度を優先させた結果、ストーリーが先行してしまい、登場人物の内面がしっかり描かれていないと感じました。
要所要所で、そのキャラクターの過去は描かれるのですが、それが理由であっても倫子にあれほどの仕打ちをする理由にはならんでしょ?と思ってしまうのです。
そして倫子は、公家出身という理由だけで周囲からひどい扱いを受け続けます。
物語の中では、公家とは家柄としてのつながりは持ちたいものの、徳川の血筋の中に公家の血を入れてしまうと、政にも公家が口出しをしてきてやりづらくなるため、代々正室が公家の生まれの場合は、早めに側室を設けさせ、側室との間に世継ぎを作らせると言うしきたりが影にあったようです。
恐らく、先代の公家の出の正室も、それで周りから正室としての勤めを果たせていないと周りから揶揄され、早くから隠居せざるを得なくなっていたのではないかと思います。
しかし仮に、公家の血筋を入れたくないと言う理由から、正室との間に子を作らせないようにさせていたと言う設定を作るにしても、いじめて邪魔して追い詰めるという低俗なやり方を大奥の人間たちがというのは、考えられません。
倫子が懐妊するたびに堕胎薬を飲ませ、何度お渡りをしても正室との間に世継ぎが出来ぬため、側室を設けさせる…これなら家治がお渡りに応じないor松島たちにお渡りを邪魔をされ、側室のお知保が先に子を授かると言う、倫子にとって屈辱的でしか無い展開にせずとも、本来の目的は果たせたはずです。(倫子の部屋に子を出来にくくする香を炊くと言う考えも出てきたのですが、その香を使わせていたのは大奥サイドではなく定信だったため、大奥サイドではとにかくお渡りをさせないor懐妊したら堕胎薬を飲ませると言う考えだったのだと思われるため。)
それに倫子は仮にも正室。
正室という立場にある女性を、果たして大奥の女たちがあんなあからさまに嫌がらせをしても咎められなかったのか?と疑問に思ってしまいます。
そういう所にも、ドロドロ展開にして主人公を不幸のどん底に落としたいという制作者側の嫌な意図があったんだろうなと思わずにはいられません。
何があっても折れず、自分を虐げる人間を許す倫子
それに、そんな扱いを受けてもなお、倫子は折れることなく前を向き、己が正しいと思う道を突き進んでいくのです。
倫子に関しても、人間が出来すぎていると言うか、そこまでされた人たちに何故笑顔を向けられるのか?何故救いの手を差し出せるのか?不思議でなりません。
周囲から理由もわからず、ずっと敵意むき出しで攻撃されて、心の救いとしていた初恋の相手信通に心粉砕されるような事実を告げられ、味方だと思っていた定信も、目的のために倫子の子どもを何のためらいもなく堕胎させるよう仕向け、終いには大奥内で唯一の味方であったお品でさえも、色恋に絆され、田沼に付け入られ、倫子を裏切らざるを得ない状況になり、対立してしまう有り様…。
本来なら絶望してもおかしくない場面なのに、落ち込みはするが、物語内の一応救いになるシーンでどうにか闇落ちすることはないのですが、正直その程度の出来事で気持ちが和らぐのか?救われたのか?と疑問に思ってなりません。
倫子が絶望に打ちひしがれてから、家治が救うシーンを見て、それでもそこで救われたとは思えない、でもそれで倫子は立ち直れている…精神状態の描写が浅く、リアリティに欠けていたように思いました。
お知保に対しても、あれだけ虐げられ、酷い目に合わされたのに、お知保の子が殺され、失意の果に自ら命を絶とうとするのを止めるシーン…そこは倫子でなくとも良かったのではないか?と思ってしまいます。
倫子がその様を見ながら、そのまま死んでくれと言わんばかりの様子で眺める。
それを止めるのは、松島辺りで良かったのではないか?と思います。
そこは悪役同士の絆を見せてくれよ!と思ってしまいました😅
悪役サイドの心情の描写も少なすぎて感情移入できない…
このドラマ、悪役サイドのストーリーもちょこっとしか描かれていなくて、全然感情移入できないんですよね。
松島の局
倫子と同じ公家の出の松島は、例のしきたりによって側室候補から外すため、煮え湯を体に浴びせられ、ひどい火傷を負いました。
それ故に、彼女は公家を恨んでいると言うことでしたが、何故同じ公家の出の倫子にあのような行いをするほど、公家を恨んでいるのか、そこの描写があまり無いんですよね…。
もしかしたら、公家はこのような考えの元、松島や倫子を大奥に送り出したのではないでしょうか?
三代にわたって公家は徳川家に正室を送り出しているが、公家は未だこのしきたりに気づいていない。
きっと今まで正室として送り出した女はすべて石女(昔の言葉で子が産めない女)だっただけだ、今度こそは!と言う考えで、側室候補で見た目も良い松島を、家重の側室候補として送り出した。
そして次なる将軍、家治の正室として倫子を送り出した。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いなんてことわざがありますが、おそらく松島は、徳川家のしきたりも知らず、数撃ちゃ当たると言うようなそんな考えで大奥に自身を送り出し、一生消えないやけどを負うことになった、そのきっかけとなった公家自身を恨んでいるのではないでしょうか?
そして、自身の考えを貫き、自分に立ち向かってくる公家の姫、倫子がさぞ邪魔でしょうがなかったと思います。
だからこそ、大人しくしていればさっさと側室に世継ぎを産ませ、隠居して穏やかに過ごせたものを、歯向かったことを心底後悔するようにしてやるという思いで、数々の仕打ちを行ったのではないかと思います。
しきたりよりも私怨が強かった…だから倫子に対するいじめはあからさまなものが多かったのだと思います。
お知保
彼女も物語後半から心変わりをしたような描写がありましたが、それでも前半で倫子にした数々の仕打ちや、傷心の倫子に追い打ちをかけるように言い放った心無い言葉は、到底許せるものではありません。
貧乏な家庭に生まれ、家族を食べさせるために大奥に入り、酷いいじめを受けながら成り上がってきた…そんな過去があったとしても、人をいじめていい理由にはなりません。
あの流れを自然にするのであれば、お知保は許されるために倫子に対して善行を行ってはいない、命を断つことを倫子が止めてくれたあの瞬間から、お知保は心から倫子に忠誠を誓い、付き従うようになった。
その気持が伝わり、倫子もお知保の行いに何の下心もないと言うことを理解し、受け入れた(だが過去の行いを許してはいない)という感じなのではないでしょうか?
ただ、やはりそこに至る描写がないため、心変わりしたお知保を倫子が許したように見えてしまってモヤモヤします…。
他の女中の手のひらクルックルも理解に苦しむ…
そしてドラマの最後の最後で、大奥女中全員が倫子に従っている状態…火事から屋敷がもとに戻るまでの間に何があった!?となりました😅
どのタイミングで和解したんだよ、教えてくれよ!!!って画面に叫びたくなりました。
何と言うか…倫子いじめと家治が抱えた秘密の部分に時間を割き過ぎて、こういう所の片付けが雑になっている状態なんですよね…そういうところは丁寧にやりーや。
彼女達の心境の変化が全く描かれないため(特に高岳サイド)、ただ「話を終わらせるためだけに無理やりまとめた」と言う印象を受けました。
高岳にとってお品は、あくまで松島の地位を奪うための道具でしか無かったはずです。
正直、あの後お品が大奥に戻ろうが戻るまいが、どうでも良かったはずなのです。
高岳にとって何より大事なのは、自分の愛猫ではなかったのですか?←
しかし、最後にお品が大奥に戻ってきた時、高岳は安堵したような表情をするのです。
そして、お品を大奥に戻した松島に対しても、悪態をつきながら感謝をしているような態度を取ります。
正直意味が分かりませんでした。
世継ぎが全て死んだ事になっていた状態で、高岳がお品を案じる必要がどこにあったのでしょう?
実はいい人だったと言う設定を全員に後付けしようとしている感が見え見えで見るに耐えませんでした。
悪役には悪役の考えがあり、それを貫き通すからこそ、やっていることは悪なのに魅力的に見えてしまうものだと思います。
あの作品に出ていた大半のキャラクターは、「悪い子としたけど実は皆いい人なんだよ。だから許してあげてね。」みたいなメッセージが込められているような気がして本当に嫌で嫌でしょうがありませんでした。
悪役なら最後まで貫け!!
心変わりする存在はそんなにいらないんだよ!
あと最後に一つだけ言いたい…
本来悪役でなかった人物を悪役に仕立てたからそうなったんだぞ!!!
…とまあ荒ぶりましたが、本当に舘様が出てなかったら、確実に途中で視聴をやめていましたね…。
正直、時間を無駄にしたとしか思えないドラマでした。
詰め込みすぎ、改変しすぎたストーリー
ストーリーの展開も雑すぎな件😅
ストーリー展開についても大いに不満があります…色々なものを詰め込みすぎです!
史実では家治と倫子はおしどり夫婦と言われるほど仲良しだったのに、ドラマではすれ違いだらけ、修羅場だらけ!
私、こういうの一番嫌いなんですよね…
フィクションとは言っても、実名を使っている以上、もう少し敬意を払って欲しかったと思いました。
倫子と視聴者に希望を持たせて奈落に落とすの繰り返しだった気がします。
史実では、家治と倫子は「将軍家では珍しいおしどり夫婦」と言われているにもかかわらず、ドラマではなぜかすれ違いと修羅場のオンパレード。
側室を設けることは、あの時代珍しいことではなかったと思いますが、史実では家治はなかなか側室を儲けようとしなかったようです。
それが、ドラマではお渡りもろくに無いまま側室を設けられ、側室とはお渡りをするなんて、正室の倫子には女としての魅力がないと言われているも同然です。
それも理解できず、世継ぎができれば倫子も楽になると思い、倫子の苦しみに寄り添おうともしない家治…自分に徳川の血が流れていないと泣きながら告白しているのを見た時
「何泣いとんねん?泣きたいのは倫子のほうじゃ」
と思いながら見ていました←
私が一番嫌いな、「ギスギス、ドロドロ系」の展開になっていました。
制作側は「史実を元にしたフィクション」と、ドラマの最後にいつも書いていましたが、実名を使って歴史上の人物を題材にしている以上、ある程度史実への敬意は払うべきだと思います。
ここまで原型を壊すような改変は、歴史上の人物への冒涜だとすら感じました。
ストーリーとしても感動できないし、何より後味が悪すぎる。
観ていてただただ疲れただけでした。
一番やっちゃいけないことを公式がやらかす
さらに追い打ちをかけるように、公式側が一番やっちゃいけないネタバレをやらかしました。
公式がネタバレは一番やってはいけないことだと思います。
史実では倫子が家治よりも先に亡くなるはずが、ドラマでは倫子が次女を身ごもっていると判明する前に家治が亡くなり、倫子は出家する展開に。
百歩譲って生死の順番や細かい設定を変えるのはドラマの都合上仕方ないかもしれません。
何から何まで史実に忠実にしろなんて言いません。
ましてや時代劇という、多方面から擦られる内容のもので若者受けがあまりよろしくないジャンル、いかに出演者やストーリーに独自の内容をぶち込むかが大事になってくると思います。
しかし、その大事なシーンのビジュアル(倫子の出家後の姿)を最終話前に公式が公開するという、とんでもない暴挙。
「あー、これ家治が先に死んで倫子が生き残って出家すんのね…これまた史実と違う展開にしましたなぁ…しかしまだ先の展開なのに公式がネタバレするとは(クソでかため息)」
…これが、私が公式でのネタバレを目の当たりにした時の、私の感想でした。
家治と倫子の生死も史実と違うし、家治が身罷るシーンはお涙頂戴みたいな展開にされて2人の扱いも雑すぎるし、もう悲しいを通り越して呆れました…。
そんなネタバレをされたら、最終話を迎える前から展開が予想できてしまい、感動も何もあったもんじゃないです。
視聴者がこれを見たらどう思うか、配慮がまるで感じられず、コメ欄もこのタイミングでこの画像を出すべきではないなど否定的な意見が多く見られ、私も怒りを覚えました。
そんなネタバレをされたら、最終話を迎える前から展開が予想できてしまい、感動も何もあったもんじゃない。
どうしてあのタイミングで、あんな重要なカットを出してしまったのか理解できないですね。
視聴者への配慮がまるで感じられず、怒りしか残らなかったです😔
キャッチコピーとは…🤔
咲くのは恋か?違うだろ、殺意か絶望だろ?
そう言えば、キャッチコピーありましたよね?
「咲くのは、恋か、裏切りか。」
…いやいや、咲いてたのは裏切りと殺意と絶望だけでしたよね???
ただただ、大奥の内側からも外側からも、倫子を痛めつけるだけのストーリーにしか見えませんでした。
大奥内では、権力争いというよりも、「誰が倫子の心を壊して、隠居に追い込むか」という陰湿な潰し合いだったように見えます。
一方、外の世界で関わりのある人物で唯一味方だと思っていた松平定信も、実は歪んだ好意を倫子に向けており、自分が将軍になるために平気で倫子の腹の子を殺す残忍さを見せていますよね。
結局、倫子の周りには「誰ひとり本当の味方はいなかった」と感じさせられるだけでした…。
お知保に関しては、途中から倫子に歩み寄ろうとする描写はありましたが、前半の非道な仕打ちの数々があまりにも胸に残りすぎて、「あれだけのことをしておきながら今さら何?」としか思えませんでした。
また、付き人だったお品も、倫子を支える立場でありながら、他の男に惚れて男女の仲になり、あっさり弱みを握られて倫子を裏切る展開に…。
その結果、お品との心の絆もすれ違い、崩れていきます。
あんたは何のために一緒に来たんじゃい!?って怒りを覚えましたね。
最終回あたりで、二人の間のわだかまりも解消しているかのように見えましたが、だからそこの描写をきちんと描かんかい💢と思ってしまいました😅
こんなストーリーを見せられて、「咲くのは、恋か、裏切りか」なんて言われても、全く納得できないです。
これじゃあもう、「咲くのは、殺意か、裏切りか、絶望か?」だと思います。
一体どこに「恋」が咲く暇があったんだ?と心底思いました😅
めちゃくちゃにされた時代背景
時代背景、どこいった?
そして最後に、時代背景について。
これはもう言わずもがな、見ていて感じたのは時代背景ガン無視でしたよね。
まず、家治の母親・お幸について。
ドラマでは、歌舞伎役者の男と関係を持ち、子を授かるという不誠実な描写がされていましたが、もちろん史実ではそんな事実は一切ありません。
実際に牢獄に閉じ込められたという出来事はありましたが、それは家重とお幸の仲が悪くなり、ある日他の側室との二人っきりの部屋にお幸が入ってきたので、家重が癇癪を起こして閉じ込めたというもので、後に生きているうちに牢獄からは出されています。
さらに、ドラマ内で言われていた「徳川家の血筋に公家を入れてはならない」という”暗黙の了解”のような設定も、完全なる創作で、そんなもの、実際の歴史には存在しません。
実際、倫子・お知保・お品で子が生まれた順番は、倫子が女の子を2人生み(千代姫と万寿姫)、その後お知保が男の子(竹千代・後の家基で、養母は倫子)、お品が男の子(貞次郎)を生んでいます。
(どちらかと言うと、竹千代と貞次郎が同い年だったため、大奥内で主導権争いがあったのはこちらの方だったようだが、史実では生後三ヶ月で貞次郎が亡くなってしまったため、竹千代が11代目将軍として、家基の名をもらったが、将軍になることなく、満16歳で急死してしまったらしい。)
しかし、結局、貞次郎も家基も死んでしまったため、将軍家の血筋を絶やさないために、一橋家から養子を迎えることになります。
史実では、倫子が子供を産めなかったことが問題視されたわけではなく、「何とかして家治の血を継ぐ子を」と、田沼意次が必死に家治を説得し、田沼自身も「自分も側室を設ける」とまで条件を提示して家治に側室を持たせ、仕方なく子をもうけた経緯があり、決して田沼が家治の弱みを握ってやりたい放題やっていたなどということはなかったのです。
側室を設けたのも、倫子との間に男子が生まれず、田沼は一刻も早く世継ぎを作らねばと、家治に側室を設けるように言っていましたが、最初は渋っていた家治…しかし田沼も側室を迎えるという条件で渋々了解したなど、とにかく「倫子しか勝たん!」という状態であったということです←
倫子が千代姫を生んでから、お知保が竹千代を生むまで、史実では9年間空いているため、家治がどれだけ側室を拒んでいたか、おわかりであろう…
つまり、徳川の血筋を途絶えさせなければ、大奥の女性誰との間の子でも(正室や側室との子)世継ぎは基本なって良し!と言うことで、最初は倫子と家治との間に男子が生まれれば、その子を世継ぎにするということで話は終わっていたはずなのですが、まあ子は授かりものだし、男だの女だのを親サイドが決める事も出来ないので、これに関してはしょうがないというほかありませんね…
しかし、史実上公家から正室を迎えた時に、正室との間に世継ぎが出来なかったという事実を、ドラマでこんな風に改変するとは思ってもいませんでした。
田沼を悪役にするため、おしどり夫婦だった二人が生きていた時代をドロドロの修羅場展開にするため、こんなにも酷い時代背景や設定の改変をされたのです。
おまけに家治が死んでから15年間将軍が不在状態で、表向きは家治は存命で、裏で倫子が政を行っていたという状態だったらしいですが、実際は家治の死んだ時期が異なるものの、世継ぎに任命していた家基が亡くなり、貞次郎も生まれて三ヶ月ほどで亡くなっていたため、家治の血筋に存命の男の子がいなくなってしまい、一橋家から家斉を養子として迎え入れていました。
しかし、ドラマ版では実は家斉は死んだと思っていた貞次郎で、一橋家に渡って14歳になった時に将軍になるという内容でした。
…あまりにも家治の血を大事にしすぎているなぁと思ってしまいました。
そもそも徳川家が御三家と御三卿を作っていたのは、「徳川家」の血筋を絶やさないようにするためで、将軍個人の血筋を絶やさないようにするためではありません。
言ってしまえば、将軍は徳川家の血筋をつなぐための存在で、世継ぎが生まれれば自分の代わりはできるのです。
ナンバーワンではありますが、オンリーワンではないのです。
いくら自分の子の命を守るためとは言え、優遇し過ぎでは?と思ってしまいました。
田沼をぶっ潰したから出来たのかもしれないけど、じゃあ倫子のときもすこし抵抗するとか、そういう風に守ってあげてほしかったわ!!って思ってしまいました。
史実をちょっと変えるとか、そんなレベルじゃないですよ…。
もはや歴史をねじ曲げて、自分たちの作りたい世界を押し付けてるだけでした…。
こういうの、本当に悲しくなります…。
漫画の実写化では見慣れた景色ですが(←)、事実を元にしたフィクションであそこまでオリジナル展開をぶち込みまくったものってあったのだろうか?と思ってしまいました。
最近問題になった作品だと、ゲームになりますがアサシンクリードの日本版を見たときと同じ気持ちですかね…。
リスペクトが欠けてるんですよね、根本的に…。
「誰のための物語なのか分からない」虚しさにとても似ています。
もちろん、過去の大奥シリーズも史実に忠実だったわけではないと思います。
男女逆転など、実際にはありえない展開になっている作品もあったとは思います。
それにしても今回は史実の改変があまりにも雑で、荒唐無稽すぎたんです。
実際、視聴者の間でも「これはさすがに酷い」という感想が多く見受けられました。
このように、本来の歴史では「誰も彼もが倫子を虐げ、裏切り、追い込む」なんて展開ではなく、周囲も倫子を蔑ろにするようなことはありませんでした。
だからこそ、ドラマで子の生まれる順番や人物たちの関係性をめちゃくちゃにされると、歴史そのものを穢されたような気持ちになり、怒りすら通り越して、ただただ悲しいきもちになってしまったのです。
実在の人物に対する敬意が微塵も感じられない…脚本家が描きたい世界観やキャラクター像を優先しすぎて、実際に生きた人たちへのリスペクトを完全に放棄してしまった作品でした。
こうした大切な時代背景や、実際に生きた人たちへの敬意を無視して、ただ都合よくキャラクターを動かしただけのドラマだと思いました。
歴史をよく知らない私でもこんな風に感じたので、歴史を知っている人からしてみれば、もっとこみ上げるものがあったでしょう。
歴史ものを扱う以上、最低限のリアリティとリスペクトは絶対に忘れて欲しくなかったと思いました。
最後に
このドラマを見ようと思った時、最初は話題のドラマだし、好きなアイドルのメンバーも出演するため、期待していたのですが、始まってみると歴史上の人物の名を借りただけの、やりたい放題の二次創作とも言えないものに仕上がっていました。
おしどり夫婦であったはずの2人を引き裂き、まるで家治が倫子を裏切っているような描写を作中にいくつも散りばめ、それでも受け入れ、様々な感情を飲み込み、頼りない家治を妻として優しく包むこむことしか出来なかった倫子。
そんな倫子を、内外から攻撃し、裏切り、ひどく傷つけ、それなのに最後は皆それぞれの思いを持って頑張っていたんだ、本当の悪人はいたのだろうか?というような書き方で、全然納得できないし、悪人サイドに制裁が下っても、全然スカッとできませんでした。
最後に倫子にとってもハッピーエンドっぽくしようと考えたのかもしれませんが、それなら家治とともに空を見上げる倫子とか、そういうラストにしてほしかったです。
不満しか残らない状態で、現状心に残っている感情は失望です。
演者は役に向き合い、一生懸命演じたと思います。
毎回思います。
脚本って本当大事。
薄っぺらい内容を演者が全力で演じると、その分回を重ねるほどに出てくるキャラの考えのブレや矛盾が素人でもわかるようになってきて、そこの違和感が気になって話に集中できなくなってくるのです。
同じような状況になったのが、朝の連続テレビ小説「舞いあがれ」でした。
航空学校編から脚本家が変わり、その後のキャラの考えや行動がブレブレで、目黒くん目当てで見ていたのに、目黒くんの演じる役が「少女漫画によくいる、顔しか良いところがない男子」状態になっているのです。
胸キュン仕草やっていればどうにかなるだろうという考えが見え見えな感じで、リーマンショック以降の話から見なくなってしまいました…。
その前までの話が良かっただけに、すごく残念でした。
もしまたフジテレビで大奥が制作されるのならば、物語と人物に一貫性を持たせて欲しい、そして「見なければよかった」「最後まで頑張って見ていた時間を返して欲しい」と言われないような内容で物語を作ってほしい…そう思わずにはいられません…
…長く語ってしまいましたが、今回はこの辺で失礼します…🔚
アイキャッチ画像:いらすとや様
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